「部活に行きたいんですけど」

 少々言葉を強め、彼らを現実に引き戻す。

 二人はぴくっと体を震わせ、
 わたしのほうを向いた。

「あっ。えっと、ああ、そうだった。」

 いつまで見惚れている。
 さっさと用件を言え、と
 心の中で乱暴に突っ込みながらも、
 表面はあくまでも穏やかに、
 にっこりと余裕のある表情で、
 次の言葉を待つわたし。



「次の日曜日、母の日だから、
 プレゼント一緒に選んでもらえないかなと思って。
 えっと、桜木さんも。一緒に」

 照れたように、顔を赤らめながら。


 桜木さんもって、
 うん、確かにこのせりふは重要。


 ていうか、外せない。



 緋色は、突然自分の名前が出てきたので
 わたしも? って感じで、ぽかんとしているだけ。


 本当は自分が誘われていることに気づいていない。
 ついではわたしのほうなのにね。

「俺達も二人だから、ちょうどいいかなと思って」

 どこら辺が
 ちょうどいいのかわからないけど、
 まあ、人数的には動きやすい。

 付き合うのが買い物なら、
 あんまり大勢になると面倒だもんね。