久馬くん、早く帰ってこないかなぁ…。


どうやって報告しようかな？それっぽいことを何も言ってなかったから、びっくりするだろうな。


『ガチャガチャ』



玄関の鍵を開ける音が聞こえた。



あっ!!帰ってきた！



走りそうになる気持ちを抑えて、ゆっくりと玄関に行く。



「おかえりなさい」



「ただいま」



久馬くんは、ぶっきらぼうに返事をした。機嫌が悪いわけではなく、元々こんな人なのだ。



「ふふふ」



自然と緩む頬。



「な…何？」



気味悪そうな表情を浮かべて私を見る久馬くんに抱きついた。



「あ…彩？どうした？」


「赤ちゃんができたよ」


彼の耳にそっと囁いた。