『きゃーっ、王子様よ!』


『王子様、今日も素敵っ…!』


うっ…。


またか…。


爽やかな青空が広がる5月の半ば。


学校へと続く緩やかな坂道。


登校していた女の子たちが、足を止めて同じ方向を見ている。


その視線を辿ってチラッと後ろを振り向けば、たくさんの女の子たちに囲まれながら歩いてくる男が目に入った。



彼は…皆辻 光琉。



学校の女子から、“王子様”と呼ばれている男。


私と同じ学年で隣のクラス。


学年を問わず、女子から絶大な人気を誇っている男だ。