冷たい、っての!
その日は、水をぶっかけられた。
女子トイレの隅で、長い髪やら制服やらをびしょ濡れにしてうずくまる私がいた。
「……」
声は出さない。そうすれば、テキはそのうち飽きて、帰ってくれる。それに、一応大学進学を希望しているから、なるだけ問題はおこしたくない。
だから私はただ、濡れた髪の隙間から、その顔を睨みつけるだけで、喉から這い出してきそうな感情を上手く抑えられない。
徐々に呼吸が荒くなる。
どくん、と1度心臓が打って、急に大きく開いた喉に大量の冷たい空気が滑り込んできた……
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