しばらく彼女は俺の腕の中で泣いていた。
落ち着いたころに彼女は立ち上がって
少し俺と距離を置いてまた座った。


「ごめん…。ありがとう、もう大丈夫だからほっといて。」


そう呟く彼女の背中は小さくて…抱きしめたくなった。

でもやっぱりほっておくことは俺の中で駄目だと言っていた。


「ほっとける訳ねーじゃん。辛いなら…俺が傍にいてやろうか?」


そう俺が言うとしばらくして彼女は肩を揺らしてクスクス笑いだした。


「な、何笑ってんだよ?」


「だって…弱いくせにこんな時だけカッコつけて…!」


そう言うとお腹を抱えて笑いだした。

俺は何故笑われているか分からなかったから頭を傾げた。


「ごめん…!そう言われたの初めてで…!」


神山はそう言うとハッとしたように表情を戻して言った。


「なら…しんどくなったら少し頼っていい?なんか…まーくんになら任せれるような気がするから。」


頼っていい?と言われた時に心臓が少し足早に動き出した。

…ちょい待ち!

…まーくん?


「なんでまーくん?」


「え?なんかそのほうが呼びやすいから?それともなーちゃんがいい?」


「なんでなーちゃんなんだよ!?理解できねぇ!」


神山はそんな俺の言葉も気にせずに言ってきた。


「じゃあうちの事は、悠里とでも呼んでや(笑)」


「俺の話を少しは聞いてくれよ…。わかったよ…。」


その時は渋々言ったがよくもう一度考えると俺はその名前に少し心が揺れた。

彼女に少し近づけたような気がしたからだ。

俺の中で少し鼓動の高鳴りがやまなかった。