―――尚道には悪いことしちゃった。

今度からもうちょっと手前で降ろしてもらうことにしよっと。

五秒で反省を終えたあたしは、勢いよくスタッフルームに入った。

「あ……」

休憩用のソファーで膝を抱えている尚道が短い声を上げた。

うろたえているのが一目瞭然。

あたしは尚道を無視してロッカーを開けた。

「さ、さっきはスミマセン……でした。美穂さんを殴るなんて、どうかしてました」

蚊の鳴くような声。