「何言ってるの、そんなわけ無いじゃん。」


笑うけれど、美子は至って真顔。



「え、それ、藤堂君の傘でしょ?
前に藤堂君が、優の下駄箱に入れてくれた傘でしょ?また、今回も入れてくれたんじゃないの?」


待って待って。
絶対に私たちは話が噛み合っていない。



「訳が分かんなくなってる。
話を整理しよう。


まず、優から。」


美子に促されて、話をする。


「この折り畳み傘、1、2ヶ月くらい前に、雨の日に私の下駄箱に入ってたんだよね。

でも、見覚えないからずっとこの下駄箱の中に入れてたの。」


美子が目を大きく見開いた。


「えっ、1、2ヶ月もそのままだったの!?」


その言葉の意味を、まだ私は理解できていなかった。