「何か……用?」


嫌な予感がしてとっさに身構えると、美奈子は口の端をクイッと持ち上げて意地悪な笑みを浮かべる。


「露骨に警戒されるとショックなんですけど~」


一歩一歩と近付く距離。


正面に向き直り必死に考える。


すぐに答えはでた。


今すぐに屋上から出た方がいい。


急いでお弁当のふたを閉じようとした時、


「ストーーーップ。何逃げようとしてんの?」


頭のてっぺんに美奈子の声が降ってきた。