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早朝、リンダは上機嫌でホルスタインの『メグ』をブラッシングします。搾乳しながら牛達の体も綺麗にしてやるのです。

リンダは、牛達とこうして触れ合うのが好きでした。

牛達の気持よさそうな表情はリンダの気持をも上機嫌にしてくれます。

そして、今日はちょっとした変化が有ります。南がボスと戯れて居ると言う事です。

細菌がどうたらこうたら言っていた神経質の塊みたいな南が犬と戯れる。

ボスもまんざら嫌そうでは有りません。

尻尾を振って居ましたから。それが出来るのなら牛達とも触れ合えるんじゃぁ無いかと思い、リンダは思い切って彼に声をかけて見ました。

「ねぇ、ちょっと」

南は牛舎の前に置かれた干し草の束に腰かけてボスの頭を撫でながら無言でリンダの方を向きました。

「これ、やってみない?」

リンダは南の方に牛専用のブラシを差し出して牛をブラッシングする仕草をして見せましたが南は、やっぱり無視、ボスとじゃれあうのを止めません。

「――ま、携帯電話から離れられただけマシか……」