少しずつ俺に対してのいじめに近い行為はなくなっていった。
そんなある日のこと。
「鈴川さん!」
この声は…
椎名だ。
「何?」
「あの…今日誕生日だよね?」
あれ、そうだったっけ。
黒板に書いてある日付は七月九日。
本当だ、俺の誕生日だ。でも、なんで俺の誕生日をこいつが知っているんだ?
凛ぐらいしか…
「お前、凛に聞いただろ」
「あ、夏川さん?うん、聞いた」
ふざけんな…嫉妬的なのされたらどうすんだよ…
てか椎名と凛って一度も話してないよな。あー、西園寺達か…
「んで?誕生日だけど?」
「うん!おめでとう!」
誕生日プレゼントあげるなよ?そんなキモいことされてたまるか。
普通誕生日プレゼントという物は普段仲の良いやつらがあげる物だろう。なのに俺と椎名は関わりが少ない。ということはもらうことはない。
「はい。これ。昨日急いで買ったし、鈴川さんの趣味わかんないけど…」

なんだ、これは。これが青春とでもいうのか?いや違う。これは仕方なくあげたような物だ。自分のイメージアップだ、そうだ、琴音、勘違いするな。
「友達だから!」
トモダチ?俺が一番嫌いな言葉をあっさりと言われてしまったぞ?どうする…
「ありがとう…」
何受け取ってしまってるんだ琴音ぇ!アホなのか!?しかも「ありがとう」って何だ!?感謝してどうする!?
「じゃね!」

中身なんだろ…
袋を開けてみると定番(?)の文房具が沢山入っていた。
シャーペン、鉛筆、鉛筆削り、消しゴム…
買いすぎだろ。逆に悪いぞ。人の誕生日にこんなに金使うのか?いや、使わないよな…
俺…過去に友達に誕生日プレゼントあげたことないからわかんない…というかそこまで深く関わった友達がいないし。そして誕生日なんて知りたくもない。気持ち悪い。わざわざ人の誕生日に金を千円以上使うなんて…だったら貯金すべきだろう。いや、こういうときのために貯金しているのか…?どっちも正しいよな…
とにかくお礼しなけれ…誰がするか。いつの間に優しくなったんだ。可笑しいぞ。