あれから何日たったのだろうか。ぼんやりと考えることが多くなった。支樹はいつもと変わらない様子で私たちの家に来ている。

「琴音、一緒に帰ろう」
「初美」

 支樹のことは話したが、キスをされたことは内緒にしている。帰り道の途中、見覚えのある姿にふと足を止めた。初美もつられるように足を止めた。長身で暗めの茶髪、横顔が見えたから支樹だとわかった。その隣に知らない女性が立っていた。いったい誰なのだろうと見ていると、ぐいっと腕を引っ張られた。

「琴音、行こう」
「待って、知り合いなの」

 何か話をしたあと、女性が支樹にぎゅっと抱きついた。支樹は少しよろめいたが、すぐに踏みとどまった。離れたあと、互いに手を振って、違う道を歩いていった。

「こ、琴音・・・・・・」
「ごめん、大丈夫だから」
「さっきの男性・・・・・・」
「うん。いつも話している人だよ」

 胸がざわついている、痛みもある。なんだろう、なんか気分が悪い。見ていてわかったのだが、明らかに女性が一方的に仕掛けたことだ。彼からではない。

「家まで送ろうか」
「ううん、平気。そろそろ行こうか」
「あ!」

 何事かと思って、初美と同じ方向を見ると、違う方向へ歩いていった支樹がそばにいた。