「ママ、どこいくの……?」



あたしの手を握り寒さをこらえながら不安そうに言う愛には笑顔がなかった



「……」



「ちなつがさみしいっていうかもね」



「愛……」




小さいながらに不安を抱いている愛の言葉が胸に突き刺さった




あたしは携帯から実家に電話をした。




「お母さん……流奈……。千夏を……」



自分がしてきた行動を、愛の言葉1っで我に返った自分が情けなかった。



「千夏がどうしたの?!」


「……」



「千夏がどうしたの!!」



「………置いて出て来た」



「何を考えてるのアンタは!!!愛は?今、何処に居るの?」



「愛は一緒……今、駅にいる」



「千夏だけなんで置いて出て来たの!!!理解が出来ないわ!!!こんな寒い中、子供連れ出して」




「だって、守が……」
「母親失格ね」





“母親失格ね………。”


その言葉だけが、頭の中を埋め尽くし……



電話から聞こえてくる声が頭に入る事を拒否していた。



今まで、愛の事にしろ……



千夏がお腹に居る時も、


自分なりに沢山、沢山愛情をかけて、守ったり、育てて来たつもりだった………



“この子達の為なら…”って頑張って来たつもりだった。





それを全て否定されたお母さんの言葉……



逃げる事しか出来ずに、愛と千夏を不安にさせてる自分……


一気に力が抜け、ずっと歩き続けてた足が止まった。



何よりも辛い言葉で……


何よりも受け止める事に時間がかかった言葉だった。