朝。目覚ましはないから、体内時計で起きる。
菊池さんはまだ寝ていたから、菊池さんの奥さんに新選組の屯所の地図を書いてもらった。
出がけ。奥さんに、
「京の町は物騒だから刀を持って行きなさい。」
と言われ、部屋に戻って隅に置きっぱなしだった刀の小さい方(小太刀というらしい)を持って出発した。
まだ朝早いのに、かなりの人が町を歩いていた。
少し道を間違えたが、無事に屯所までたどり着いた。
さて。どうすればいいんだろう。
この時代にはもちろんインターホンなんて無い。
少し近所迷惑かもしれないが、大声で呼ぶべきか。
でも、まだ新選組の人達もだれもおきていないかも。
そんな事を考えながら屯所の前をウロウロしていると、男が1人出てきた。
「お前、いったい何のようだ?ここは新選組の屯所だぜ。」
その男はやたら背が高くて、がっしりとした体型だった。
黒の短い髪の毛を後ろの高い所で結んでいて、前髪は作っていなかった。
「あっあの、藤堂平助さんはいらっしゃいますか?」
「平助にいったいなんの用だ?」
男はまだオレに疑いの眼差しを浴びせてくる。
「オレは菊池洗濯屋の者ですが、藤堂さんにお詫びしたいことがあって・・・。」
オレがそう言うと、男が一気に緊張を解いた。
「ああ!洗濯屋か!悪いな、疑って!オレは永倉新八!二番組組長だ!さ、ついてきな!」