「あーくそっ!!また斬られたぁ!」

そう言ってオレ、中谷 仁(中二)はパソコンのキーボードをバシリと叩く。
叩いた右手がじんじんと痛み、パソコンの中のオレへの怒りが一層と増す。

「なんでコイツこんなに弱えんだよ!オレはもっと動き速いっつの!」

オレは今パソコンのオンラインゲーム「幕末物語」で敵の浪士と闘っていたのだ。
その中で背後から来た浪士にズバッ・・・。
なんともあっけない死に方だ。
パソコンからタッタラッター♪というゲームオーバーの音楽がなり出し、
オレは電源をあらあらしく切った。
勝ったなら仲間のアツシや祐太とメールしてさっきのプレイへの感想を言い合うけど、
ゲームオーバーになるとあいつらは、冷やかしの言葉ばかり送ってくる。
それには我慢出来そうにない。
オレはまだ9時半なのにベッドに入った。
明日 学校にいけば必ず2人にメールについてとやかく言われるだろう。
そのことを考えると憂鬱な気分になった。
オレは半分眠りながら、
(幕末に行って、あいつらにオレの実力を見せてやりたいぜ)
などと、考えていた。

今から思えば、オレが幕末に行きたいなんて考えたからこうなってしまったのかもしれない。