「これ、何なんだよっ!」と俺は祐也を責めたてた。

「えっ、何が」

「とぼけんじゃねぇぇぇっ」


『第1回 キミもアイドルになれる!放送委員会アイドル発掘プロジェクト』

画鋲の穴だらけの壁に貼られた真新しいポスター。やたらにポップな文字が並んでいる。

一見するとただのマジメな委員くんたちが考えたつまんない企画としか見えない。

しかし下には…




「僕たちも応援しています☆」

と2人の少年が笑顔で言っている写真があった。


「え、な、何が問題なわけ」
「肖像権侵害だ!」

2人の少年のうち1人が祐也。コイツは自分でポスター作ったので問題なし。

で、問題は横にいるもう一人が


…俺ってこと。


「だって委員長がイケメンでポスターに華やかさ出せって言うから~」

「だからって俺出していい理由にゃなんねえんだよ」

「あー、ホントにゴメンって。ところでさ、お前このプロジェクト興味ない?」

「あぁ?」突然のことで、頭が混乱する。

「いや~、ハッキリ言ってこのプロジェクトのオーディション通るのかなり楽だと思うんだよね。
お前のルックスと俺のトーク力っつの?、あったら楽勝だって!お前、俺と一緒にラジオ番組やんない?」

「お前となんかのむさくるしそーなのな」

「ちょっと待て、しっかり下読め」

彼が指差した先には…




『なお、他校の人と組むことも許可します。ただしグループ内で本校生徒が半分いることを原則とします。』


「お前の知り合いとかから誰か連れて来て4人でグループ組もう。女子高生じゃねぇとぶん殴る。男子校だからな。期限は3日後。じゃ、期待してるよー」

「ちょっ、何で俺がプロジェクト応募することになってんだ、おぃぃっ」

そんな俺の叫びをさらりと交わして彼は颯爽と去っていった。


でも、意外と面白かったりして。

約束しちまったし(させられた)、やるしかない!

「よし。」


…これが原因で俺の青春(という青臭いやつ)は大きく変わっていくことになるのを俺はまだ知らなかった。