15分くらいたったと思う。


私の乗った黒くフルスモークのかかった車はゆったりと止まり



「着きました」



今まで一言も喋る事もなかった運転手さんがミラー越しに私を視界へ入れた。




着きました。と言われても、どうしたもんかとそのまま座っていた私に



「中の者が案内します」



私が座っていた側の扉が開かれたかと思うと、



「どうぞ」と外から低い声が聞こえる。




そちらへ視線を向けると、何やらその声の主は背が高いのか車の影でよく見えない。



とりあえず私は「ありがとうございました」と小さな声で運転手さんへ呟くと、



真っ黒い車から足を下ろした。



きっと今日から私の運命が変わる。

吉と出るか凶と出るかは分からない。


けど今日、リュウガさんに救ってもらったことには違いない。




私は、私を救ってくれたあなたの為に生きると、



少しばかり拳に力を込めて立ち上がった。