私は放課後、委員会のため
廊下を走っていた。

今日は大澤君と話せた!
少し嬉しくて…でも結構嬉しかった。
なんでだろう?
そんなことを考えながら
曲がり角を曲がろうとした時。

どんっ

「ってぇ〜!どこ見てんだよお前!?」

私はあわてて立ち上がった。
そこには、数人の2年の先輩だった。
どうしよ…!1人だし人もいないしっ…。
「あ~、こいつ1年じゃん?よくみたらかわいいじゃん♪」
!?
どうしよう…怖い!
すると数人で私を抑え、先輩の1人が顔を近づけた。
抵抗したけどびくともしない!
「このままやっちゃおっかな〜?」
制服のリボンを外した。
そういった先輩の顔は…笑ってる。

助けてっ…!!

「なにやってんすか?」

低い声。
後ろには大澤君…!!

「やだ!助けて!」
私は聞こえないほどかすれた声で
そう言った。
そして大澤君が、
「先輩たしかサッカー部のレギュラー
じゃなかったですか?このこと顧問に言ってもいいですか…?」
堂々という。
「チッ。いこーぜ!」
そして先輩たちは舌打ちして逃げて行った。

助けて…くれた…。
力が抜けた私はその場に座り込んだ。
その瞬間、涙が出た。
「大丈夫だった?」
大澤君が覗き込んだ。
やばっ!泣いてるとこ見られたくない!
「大丈夫だから!」
こらえていったが、やっぱりだめで。
大澤君は私の隣に座った。
私たちは黙っていた。
リボンを直しながら、きいた。
「どうしてここにいた…の?」
放課後なのに…。
「あ、剣道部で顧問に用事あったから
探してた途中。」
そっか、大澤君剣道部だったっけ!
前に誰かからきいたことがある。
「ごめん…あの、さっきの…大澤…くんかっこよかった。」
自然にそう言った。
でも本音だった。
「…あざっす。」
少し照れてた。
「少しだけね!!」
また私素直じゃない。
「俺も、怖かったけど!」
…きゅん。

私は大澤君のほうを向いた。

心臓の音、うるさい!
いま考えたら2人きり。

大澤君も私のほうを向いて…
涙がまた少しでた。
それは、嬉しくて。

そして…。

大澤君は私を抱きしめた。