「悠生、早くしなさい」「はーい」俺はいつもの朝を迎え、朝ごはんを食べ、学校へ直行する。俺が通う静寛中央高校。家から約15分。前の中学と時間はほとんど変わらない。高校に入学して3カ月たったが、俺はいつも教室に入って音楽を聴いていた。
ある日の放課後、俺は友達の佑介と一緒に帰宅中だった。佑介は学年でも評判の美男子で中学まではサッカーをやっていたが、高校では部活に入らず、帰宅していた。俺も中学ではサッカーをしていたが、卒業前にサッカーを辞めることを決めて高校ではサッカー部にも入らず、部活すら入らなかった。「佑介、お前もうサッカーやらないの?」と聞いたが佑介は「サッカーは面倒臭い。何か嫌なんだよ」と否定的な発言だった。俺は佑介の顔を見たが何か悩みを抱えているように見えた。
俺は佑介と別れた後、家の近くの神社に寄り、お参りした。実は俺には好きな子がいた。その子は莉帆。同じく静寛中央高校の同級生でクラスは違うが小学校・中学校と一緒だった幼なじみだった。よく小さい頃から莉帆とは遊んでいたが、中学二年の頃から、全く顔を会わせず、喋りもしなかった。俺は卒業前に一回莉帆と話をしたが、莉帆に「もういいから」と言われ、仲が裂けたままだった。だから俺は帰るときにいつも神社へ行き、″仲を直したい″と毎日お参りしていた。
お参りを終えた俺は家へ帰る途中、近くのごみ捨て場に大きな段ボールを見つけた。俺は誰かが読み終わった漫画があるのかと開くと、小さな子猫が入っていた。子猫は俺を鋭いめつきで見てきた。これが俺の恋愛ストーリーの始まりだった。