-聡視点-





俺たちには俺たちの闘いがある。

今だって現にほら……俺の机が燃えている。

「こらそこ! テスト中にキャンプファイヤーなんかするんじゃない!」

試験官は80のジジイだ、もう使い物にならない。

俺の机に火矢を放った当人、守屋 宗一は教室の後ろ端の席からこちらをニヤニヤ眺めている。

奴の目的は俺を追試にさせることだ。
あいつ馬鹿だから俺たちまで巻き込もうとしてやがる。

現にもう一人の親友、桐崎 翼くんはほらっ!

 テスト問題とエロ本すり替えられてるしっ!

しかもなんか必死に解いてるよっ!

 気づけよっ!

いや……待てよ……

あいつは確か、すこぶる成績がよかったはずだ。

なんたってイギリスからの帰国子女だし……

きっとあいつならテスト問題をすり替えられる前に内容を全部暗記したに違いないっ!

こうなったら俺も奴に便乗するしかない。

『カンニング!!』

あいつならエロ本片手にこんなテスト朝飯前だろうっ!!

俺は斜め前の翼の解答用紙に首を伸ばす。


『君の胸にも2πあーる』


 下ネタじゃねーかっ!!

しかもなんか、してやったり! みいな面してやがるっ!


こうなったら……

俺はすかさずポケットから起爆スイッチを取り出す。

その俺の姿見た宗一は口パクで「何をするつもりだっ!」と、取り乱した。

俺だってこんな卑劣な手を使いたくはなかった!!

許せっ!

ポチっとな。