「お疲れさまでーす!
…って、俺にも言ってくれるの?」



「あ」



今日もさっきのお客さんとのやり取りを見ていたようで、そんな風に私をからかいながらやって来たのは例の彼だ。


もう夜の8時は過ぎてるのに、未だ制服姿でウロウロしてるなんて。

私が高校生だった時は、家に帰ったらすぐに着替えてたもんだけどなぁ。



「お疲れさまって言うか、学生さんは疲れないでしょう?若いんですから」



言ってて自分で「しまった!」と思った。


それじゃあ実は私は若くないのがバレてしまうんじゃないかって…。




「はぁ?学生だって疲れるっての!毎日毎日わけわかんねー勉強させられてさ。
それがやっと明日から休みなんだぜ?
5日間も頑張ったんだから、お疲れさまさまだろ」



「はいはい、お疲れさまさまでした!
…で、いいですか?」



「オッケー」



手でVサインをしながら、彼はそう言ってニカッと白い歯を見せて笑った。



「……………」



何だかホント、お調子者って感じ。


だけど幸い私の年については、特にツッコまれる事はなかった。


でも、そんな笑顔がかわいいと思ってしまっているからなのか、同時に憎めないなぁとも正直に思えた。