雄平に対する気持ちを消せないまま、そして、雄平と香織の噂の真相を確かめることもできないまま、12月を迎えた。
どうしていいかわからず、心がズキズキと痛むだけの日々を送る。
時折、教室まで将太君が会いに来てくれた時にようやく、あたしの心は安らいだ。
傷だらけのあたしの心を、将太君の明るさが、そっと包んでくれる。
こうやって傷が癒えていくなら、真実を知る必要はないのかとさえ思えた。
雄平に近付くことは、あたしの傷を再びえぐることになるだろう。
そんなことをして、自分が壊れてしまうのではないかと思うと、怖くてたまらなかった。
受験前の大切な時期を、なるべく心穏やかに過ごしたい。
わざわざ自分から火の中に飛び込むような真似ができるほど、今のあたしに余力はない。