今年が終わるまであと約1時間。


至る所人でごった返し
ギラギラ点滅を繰り返すフロアライト
スピーカーからズシズシ響く重低音。

煙草とアルコールと埃と香水と
あとヤバイ系の臭いが
ごちゃまぜになった空気内で

新年を馬鹿騒ぎして迎えようと
何かを期待して集まった奴らによって
会場のボルテージは上がりまくりだ。


「なぁアキ
ちょっと松さんとこ挨拶行こうぜ」

「うん、行く行く」


会話の不自由なほど
大音量で音楽が流れる中

耳元に口を寄せて
そんな言葉を交わし合ってから
アキの手を引き人の間をすり抜ける。


今日はカズマもケンゴも抜き。

こうしてアキと二人でやって来たのは
地元のクラブと
ライブハウスが共同して開かれた
カウントダウンパーティー。

隣接する二つの会場を貸し切って
バンドのライブと
DJによるプレイが交互で行われる
ノンストップタイムテーブルが
このイベントのウリだ。


今夜の音楽はノージャンル。

今だって
ゴリゴリのヘビィロックが流れたと思ったら
今チャートを賑わせてる
ヒップホップが後に続いたり
それに合わせて集まった客層も多種多様。

まさになんでもありの
カオスみたいなヤバイ雰囲気が
すでにこの中では出来上がってた。