……ここは――どこだっけ?


薬をキメたみたいに
(まぁ薬なんかやったことねぇけど)
意識がトリップして
頭ん中七色の渦がグルグル、グルグル

地面がスポンジ状にフワフワして
でも底無し沼みたいに
吸い込まれそうな感覚。


……どこだ?
マジでここ。


亜熱帯の無人島?

乾燥した砂漠地帯?

無限に広がる宇宙空間?

それともテクノロジーまみれの
近未来世界だっけ?


いや、まさか違うだろ。


だってさっきからずっと
アイツの声が聴こえてるから……。


――つか……やばい
また やられた?


またアイツの声に
意識ぶっ飛ばされかけて

それに気付いた俺は
頭を軽く振り
さっきまでの妄想を体外へ捨て去った。


同時に頬を伝う汗が
スローモーションみたいに宙を舞って
天井から降り注ぐライトに
反射するように光る。


荒い息遣い
高ぶる鼓動


目の焦点を合わせて
固い床に両足を踏み締める。

やっと正常に
回りの景色やノイズを脳が認識して

見えて聴こえてきたのは……


――そうだった、

ここは俺らの地元の
薄汚いライブハウスだ。