雨芭は何度目かわからないため息をついた。



結局あの後、自分の家に居る気にもなれず水露の家に泊めてもらう事になったのはいいが、散々世間話に付き合わされた。口では勝てない事を知っているため、無難な方法でやり過ごすのが一番だ。



おかげで睡魔がすっかり逃げてしまい寝れない雨芭とは反対に、水露は毛布にくるまり眠っている。



「よく寝れるよな……こんな、悪夢の中」



毛布でくるまったまま引きずるようにして、ベランダに出た。



冬の澄んだ空がどこまでも広がっていて、この異常な現実がすべて嘘のように思える。








いや、思いたかった。






例え嘘だとしても、そう思う事ができたらどんなにいいだろう。