思わずこちらも笑顔になってしまう。

そんな俺の顔を見ながら、裕也は言葉を続けた。


「ね、ねえ七夜くん?
もし、よかったらだけど…
…司くんや小町屋さんも一緒に、夏樹(なつき)くんの席に、遊びに行かない?」


そう言って、司たちのほうを見上げる。


「「「…え?」」」


その意外すぎる発言に、3人の声がハモってしまった。


だって裕也は、普段本当に控えめで、自分の意見を主張するだなんて、今までほとんどしたことがなかったから。

ましてや、修学旅行の移動中のバス内で、団体で席を立つなんていう先生に怒られそうな提案、なおさらだ。

でも…。


「うん、いいよ!
裕也くんがそう言うなら、喜んで♪」


驚きの声を漏らした直後にもかかわらず、嬉しそうな笑顔をつくり、それを裕也へと向ける司。


司も気づいたんだろう。

さっきの裕也の声が、精一杯の明るさを装う声だったことに。

…まるで、未だに後部座席から聞こえてくる、翔太たちの会話を打ち消そうとするような。


裕也はきっと、俺たちに、自分の陰鬱な姿を見せたくないんだ…。

あと、バス前部の夏樹の席に移動することで、少しでも翔太や良雄の声から遠ざかりたかったのかもしれない…。


続けて司が言う。

「もちろん、七夜も行くよな?」

いたずらっぽい笑顔をこちらに向ける司。


その問いかけに俺は……


【選択】

A:「ああ、もちろん!」
そう言って笑顔を返した。
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B:「いや、先生に怒られたらイヤだし、俺はここに残るよ…」
悪いとは思いつつも、苦笑いでそう答えた。
→【195】