立春を過ぎたというのに雪が舞った日、武道場へ向かう私を、部活を引退した3年の先輩たちが呼び止めた。



「14日、1・2年と試合することにしたから。」


「わざわざ14日にした理由、分かるよね?」


「チョコレート、ヨロシク!」



あ…、3年生どころか、危うく現役の部員たちの分も忘れるとこだった。


チョコをねだった先輩たちに感謝!







「剣道部の奴らって、図々しいわね…。」


「アンジェったら、相変わらず男子には手厳しいのね。」


「リコに変な虫、つけたくない。」


アンジェって…男嫌い、なのかな?


彼女と話をしていると、そう思うときがある。




「バレンタインチョコは、アンジェのも作ってくるね。」


「リコ、ホントいい子ねー。」


アンジェはそう言うと、私を羽交い締めにして頭をなでた。




バレンタインといえば、気にかかるのは本命チョコ…。


蒼先生には、どうしようかな?


好きなんて言ったら迷惑だろうし、受け取ってもらえるか分からないし…。