「・・あたし、何ドーヨーしてんだろね。
ダイジョブだって・・ホント・・。」


ステージ裏の直ぐ横、
水道がある場所まで帰って来てた。

やっとそこで
体を抱えるようにヤンキー座りする。



たぶん・・優弥は、憧れのレスキュー
のイベントが目当てだったんだろう。
それとも知り合いの応援のどちらか。


「女も一緒だったろ・・? だから・・」


咄嗟に・・カチンと来たらしいのだ。


「なんかさー・・もう最近、ぼーっと
魂ヌケたみたいになってる時あるし、
そう云うのモウ見るの嫌じゃん・・?」

「・・それ、あたし?」


リュウはワリと真面目な顔で大きく
頷き、こちらを両手の指で指した。

そんなバカな。

あたしはあれから普通に仕事をこなし
ゴクフツウに生活できてた・・ハズ。


「落差が激しすぎるんだよ・・、
店に居る時と帰って来た時とさ。」


だから、心配して・・?


「・・・。」


あたしは大きなダメージを受ける前に
優弥から身を引いた。

ヒトツの短い、恋らしきモノが終わり
泣くどころか落ち込んでもいない・・
何も変わらない・・そう思ってたのに。

ハタに心配掛けるほど
凹んでるように見えていたんだ・・?


「だけどさあ・・アイツも何、
話すつもりで追いかけて来ンだろ。」

「・・さあ。」


弟はあたしが1本の煙草を吸い終わる
のを建物の壁にもたれて待っていた。

携帯の灰皿に吸殻を押し込むと

"もうイイじゃん"
そんな目配せで彼の手を揺らす。


「ほら、もう直ぐ出番だし。行こ。」

「あ!!」


ナニゲに時計を見たあたしの腕を
捕まえ、突然驚きの声をあげた。

腕の時計、黒のDEVEAUXに
今頃気が着いたらしい。

あたしは腕時計マニアだ。
リュウは中でもニクソンを欲しがってる。


「こんなセクシーなの持ってるなら、アノ 
Capital Automatic要らないっしょ!」

「要る。さー、行くよっ。ナニヤッテンノ!」



子供みたいにゴネる
彼の手を引っ張って笑った。

・・そのウチ、
もっと笑える様になるから・・ゴメンネ。