《ある1日――彩》



「おまえはいいよなぁ、好きなことしてても誰も文句言わないからなぁ」


 お店の休憩時間、彩は白猫の太郎に話しかけていた。
 諒が拾ってきてからまだ何日も経っていないのに、猫というのは本当にマイペースで、まるでこの家の主であるかの如く堂々たる振る舞いを見せている。
 最近、彩も目が覚めたらお店を手伝う事にしているのだが、今日は暇なので、もともと皿洗いくらいしか仕事がない彩にとってはかなり退屈だった。
 何が辛いかって、じっとしていることが一番つらい。
 どうせ手伝うなら、何かやることはないかと考えを巡らせる。
 ・・・だが、これといってやることがない。