両手に大きな手。
双方から前に引っ張られるように歩いた。
何を話していたかは覚えていない。
ただ、今日は何があったとかこれから何するだとか、そんな下らない事ばかり・・・だったと思う。
そんな当たり前だったはずの日々が、懐かしくて愛しい。
右を見上げれば、笑顔のお母さんと、
左を仰ぎ見れば、笑童顔のお父さん。
私だって笑顔だった。
お母さんの手には、可愛い鞄
お父さんの手には、美味しそうなケーキが入っている箱。
その日は、私の誕生日だったんだ。
お父さんもお母さんも言ってくれたんだ、生まれてきてくれてありがとう。って。
だから私も言ったんだ、生んでくれてありがとうって。
その言葉が、崩れる事があるなんて思ってもいなかった5歳のバースデイ。