額に冷たいのを感じた。
「詩織ちゃん?詩織ちゃん…」
目を開けると、さっきも見たその影。
「慧…の…」
「良かった。
詩織ちゃんが無事で。
さっきはゴメンなさいね」
その姿をきちんと捉えた瞬間、反射的に身体が飛び起きる。
なんという醜態…彼氏の実家に来て、倒れてしまうとは…
しかも、御母さんに世話まで…
「ご、ごめんなさい!」
「いいの、いいの。
私が悪いんだから~」
さっきはいきなり抱きつかれたから、よく分からなかったケド、見ると凄く若い?
「私ったら、学習能力0ね。
慧に初めて会ったときも、泡吹かせちゃったってーのに」
「えっ!?」
「私、与一郎Yoichirouさんの…慧の父親の再婚相手なの」
ケロッと笑顔で話す彼女は、何だか凛々しく見えた。
私だって、自分の過去を話すときは笑顔でいれるように、努力した。
でも、外見として出来ていても、心からは笑っていなかった。
「私、紗智子Sachikoよ、
よろしくね、柿園詩織ちゃん。
いいえ、
間宮詩織ちゃんかしら?」