家を出ると、俺たちはニット帽を深くかぶり、タクシーの通る回数が多い大通りを目指した。
大通りに向かう途中、俺はいつもより人の目が気になっていた。
万引きGメンの比じゃないほどに。
そんな俺に竜也は、プラスな思考を取り入れてくれた。
「でも阿部はすごいね。やってないとしても今、この日本では阿部のことを、世紀の大悪党ってことになってる。すごいことだよ!もし、無実が証明されたら、本当に良い歌作ろう!」
「竜也…。…。そうだな!よーく考えたらこれ、かの有名なhip hopの神たちも経験してないことだしな!」
この時、俺はプラス思考なんて、全く考えられないが、竜也の手前、無理にプラス発言をしてみた。
そして、そうこう、話してるうちに、俺達は大通りについた。