栞奈side

「蓮ちゃん、緊張してる?」

「ば、バカ!
してねぇよ!!」


あたしが聞くと、蓮ちゃんは焦りながらそう答えた。

それを聞きながら笑う先輩達。


「鈴山先輩、まだ始まったばかりですよ?」

「うるせぇ、翔太。
黙れ、翔太。
縮め、翔太」

「せ、先輩!?
何か酷くないっすか!?!?」


縮めって……まぁ、蓮ちゃんより花井君の方が大きいからね。


「……大和?」


あたしは騒がしい蓮ちゃんと花井君の横でボーッとしてる大和に声をかけた。


「……今、谷先輩がいた」

「え?」

「気のせいかもしんないけど。
でも、いてもおかしくないよな」


谷先輩。

あたし達が中学生のときのバスケ部部長。
お父さんみたいな優しい人だった。


「他にもいるかもしれないね。
先輩達」

「去年は先輩達とは当たんなかったからな。
……今年はどこかと当たるかもな」

「楽しみだね」