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『いっくん!すごいねー桜!きれい!!』


『梨紗、恥ずかしいからそんなはしゃぐなよ』


『だって雪みたいなんだもん!』



満開の桜並木は、何もないこの街のたった一つの自慢で、その下を2人そろって慣れない制服で歩いた。


セーラー服からブレザーに変わった。

短くなったスカートの丈。

少し茶色に染めた髪。



もしあの時、素直に言えたら……。

それでもお前の視線の先にはいつだってあいつがいて、結局変わらなかったのかもしれないけど。


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