愛梨栖は美利亜の横に並んでから



「愛梨栖でいいよ。それと敬語はなし。」



「えっ!でも…。」



愛梨栖は美利亜に最後まで言わせず



「いいの。なんか変な感じがするからとにかく敬語はなし。」



「うん。わかった。」



「それでよしっ。さぁ着いたよ。」



前を見るとバーらしきお店で看板に“クローバー”と書いてあった。



「愛梨栖、ここって…。」



「クラブハウスだけど?」



小首をかしげならがら愛梨栖はさらりと言った。



「ふっ普通じゃないよ。よくないよ!こういうの。」



愛梨栖は慌て気味の美利亜の手を掴み、お店の中に入った。



音楽のクラブハウスらしく、ステージで1組のバンドが演奏していた。



あちこちにも楽器を持った人がいた。



愛梨栖は迷うことなく奥まで進んで空いていたイスに座った。



美利亜はその後を必死で追いかけ、愛梨栖の隣に座った。



目の前には2人の男の子がいた。



愛梨栖は2人を指差しながら



「えっと、右に座ったちょっと軽そうなヤツが安谷屋龍(あたにやりゅう)。で、左に座ったかわいいヤツが有沢廉(ありさわれん)。2人ともアタシの幼なじみ。」