もうすぐ春が来る。
春・・・祐也が3年、莉亜が2年、
そして祐也の腹違いの妹麗香が
入学してくる・・・。


莉亜はいつものように学校帰りは
とんかつやで休みなくバイトして
週末の夜は祐也に隠れてパブで
バイトしていた。


祐也とは毎日昼休みに廃部に
なって今は使われていない写真部
の部室で会っていた。


バイトの合間に何度もベルの
やりとりをして、バイトが休みの
時は一日一緒に過ごしていた。


普通のカップルのようには時間に
自由がないけど会えない日は
次に会ったとき嬉しさが倍になる


莉亜には“普通の幸せが”
“最高の幸せ”だった。




   -1998年 春-


いつもと変わらない朝、いつもと
同じ席、2年になった莉亜は
偶然にも1年の時と同じ6組で
同じ窓側の一番後ろの席だった


いつものように窓からロータリー
を眺める。いつも祐也が自転車に
乗って登校する姿をここから
見ていた。


(あっきたかな?あれ祐也だよなっ)


自転車に乗ってたり、歩いて
いたりとたくさん生徒がいる中
でも祐也はすぐに見つかる。
こんな事でも莉亜は嬉しかった。


-えっ?あれ誰・・・-