「ギャオオォ!!」 龍の咆哮が耳をつんざき街は次々と消えていった…。「ヒュー…」
残ったのは兄(ジーク・サース)と弟(アラン・サース)だけだった。街は王都だった、しかし兵などなんの役にも立たず踏まれ砕かれ死んでいった。王は災厄の王だった惚れた他国の王女を物にするためにクシャルダオラ、古龍と呼ばれ太古より生きてきた鋼鉄の神に手を出し逃げ帰り街に怒り狂う龍を招き入れ戦ったのだ、確かに街には狩人と呼ばれる国にモンスター狩を認められた人がいた。しかし余りにも甘過ぎた。龍は嵐の様な風を纏いその怒りを風としてぶつけた。狩人の防具は仕留めたモンスターの素材をあしらった通常のものとは桁違いの堅さだが龍の風を受け粘土でも弄るように砕けた。父は街一番の狩人だった他の狩人の式をとり前線で闘った。王は兵を見捨て逃げだした。父の最後に残した言葉は
「他人を退けてでもお前達は生きろ」
私達兄弟は家の地下室に身を潜めていた。小さな穴から外のおぞましい光景が見える。兄は笑ったように見えた…薄暗さで見間違えたのかもしれない。暫くして音は一つしか聞こえなくなった。
「ゴオオォォ…」
龍の風の音だけに…その時兄が地下室から飛び出し銃を龍に向け引き金を弾いた「カアァン」
弾は鋼鉄の鱗に弾かれた。龍がこちらを振り返り私達と視線が合う。私は背筋が氷つき動けなくなった。 「……お前を狩る!!」
兄は龍に言った。龍は馬鹿にするように喉を鳴らし去っていった。私達兄弟は廃墟とかした街を歩いた。兄は使えそうなものを拾いながら歩く。ふと見ると前方に人影が見えた。それは龍が去ったのを見て戻ってきて王だった…いや王と呼ぶより愚王と呼ぶほうが良いだろう。愚王は私達兄弟を見つけ言った。
「金ならやるわしの金庫を探してくれ」
兄は黙りこくったまま動かない。
「聞こえんのか速く探せ!!!!」
私は反射的に探そうとすると兄が手で止めた。
「反逆か!!!!」
愚王が剣を抜き近づいてくる。兄が口を開いた。
「お前のせいでこうなったんだぞ…お前のせいでこうなったんだ!!!!」
兄は剣を手に愚王に向かって走り出した。
「ドスッ」
愚王に剣を突き刺した。兄は剣を抜きまた刺した。 「ザクッグサッザクッ」 何度も何度も剣を突き刺した。私は思わず耳を塞ぎ叫んだ。
「もうやめてよ!!」
兄は血まみれの顔でこちらを向き言った。これからは自分達だけで生きて行くんだ……。