「ねえ、泰雅。

 結婚したいね」

「・・・ばーか。お前を残して逝きたくねーよ」

「・・・馬鹿はどっちよ、馬鹿」

 冗談なんかじゃない。

 本気で心からそう思うの。


 もうすぐ死ぬという人に

 こんなこと言うのは可笑しいのかな。


「瑠維、俺、お前と出会えて良かった」

「・・・・・・あたしも、良かったよ」


 毎日のように彼は嬉しいことを言う。

 けど、その言葉には

 もうじき死ぬとう事実がぴったりとくっついている。


 次第に彼の容態は悪化していく。


 ゆっくりだけど着実に死へと近づいていった。