身体のだるさに目を覚ます。
 なんてひどい朝……。
 室内の冷たい空気がひんやりと頬に触れて気持ちがいい。
 いったい熱は何度まで上がったのだろう……。
 うつらうつら考えていると、部屋をノックする音が聞こえた。
「はい」
 鼻声で答えると、入ってきたのはお母さんでも唯兄でもなく湊先生だった。
「熱、引かなかったわね」
 湊先生はベッド脇に来ると、すぐさま診察を始める。
「リンパ腺も腫れてるし熱も高い。今日は休みなさい」
「はい……」
 湊先生は出勤前にゲストルームへ寄ってくれたのだ。
「点滴入れていくから、あとで栞に抜いてもらって。夕方にまた診に来るけど、今日一日はおとなしくしておくこと」
 点滴を刺し終わると、湊先生は部屋から出ていった。