①

 五月を目前にし、爽やかな風が頻繁に吹くようになった。

 貴之達が美葉と出会ってから、一週間が経った。
 手探りながらも、貴之は三人で過ごす生活を楽しんでいた。
 平和をすら、感じ始めていた。

 ……この日も、いつもどおりの朝だった。
 その、はずだった。



 朝食を終え、美葉に後片付けを頼み、勝手口に向かった、貴之。
 そして、ゴミ捨て場に向かおうと、腰に力を入れ両手のゴミ袋を持ち上げた瞬間、右手側の袋が破れ、中身が激しく散った。

「えーっ!」

 突然軽くなった右手の下に散乱した憎きゴミ達に向かって叫ぶ、貴之。