「航生?どこみてんだ?」


「ん?あの子ずっと来てねぇーよな?」


「あーぁ。島田さん?
 あの子一人暮らししてるから
 バイトとかで忙しいんじゃね?」


「そーなのか・・・。」


「あっ!そーいえば!
 昨日島田さんがおっさんとラブホ
 入ってくとこ見たぞ?
 もしかしたら見間違いかも
 しれねーけどな」


「なんでそんなとこ!?」


「しらね。
 それよりさ・・・」





俺の名は黒崎航生。

高1。




教室の左端の一番後ろの席は
いつみてもあいている・・・。



彼女の姿は入学式の時以来見てない。



すれ違った時に見た彼女の笑顔・・・。



まるで人形みたいだった。

俺には分かる・・・。


あのつくり笑顔を見たとき
何か惹かれるものがあったんだ。



まるで遠くを見つめるような
あの悲しい眼を見るとふいに
抱きしめたい衝動にかられた。


こんな気持ち初めてだ・・・。

どう表現したらいいのかわからない。


ただ俺が今一つだけ分かっていることは
彼女があの小さな背中に何か
重たい荷物を背負っているということだけだ。