ご主人様、とてもお似合いです。

真っ白なウェディングドレスが、ご主人様の黒い髪によく映えます。

僕と同じ、黒い…黒い…。


今日で、貴女とお別れなんですね。


僕は貴女といつも一緒でした。


嬉しい時も、悲しい時も、いつも、いつも、いつだって。


ご主人様、僕は猫で貴女は人間。

結ばれる事もない飼い猫の定めです。


禁断愛、僕と貴女では通用しない言葉ですね。


人間になりたいだなんて、贅沢は言いません。


どうか、僕に言葉を下さい。

人間の言葉を話せる力を下さい。


夢みたいな話だと馬鹿にされました、仲間は僕を笑いました。


でも、僕は貴女に言いたいんです。


"大好き"だと伝えたいんです。


愛してるなんて、無責任には言いません。

シンプルな愛を伝えたいんです。


ほら、貴女は僕の鳴き声なんて聞こえない。


僕が今、"行かないで"と人間の言葉で訴えれば、貴女は振り向いてくれますか?


でも、僕が言いたいのは、貴女を困らせるような事ではないんです。

貴女に感謝とお祝い、そして一時の愛を、声に出して伝えたいんです。


ですから、訂正します。









"大好きでした"と。