「お父さんやお母さんがまだ
家にいた頃で、
毎日毎日その男の子のことを
楽しそうに話しててさ、 
私もその頃好きな人居たから
静かに聞いてた。」


「……うん。」

「でも手紙のやり取りを止めなきゃ
いけない日が来て…。
急に何も言わなくなった莉愛に
私は…泣きながら何度も
言ったわ。忘れちゃだめだって。」


「………うん。」

「…でも莉愛は一時期一切
笑わなくなって、男の子の話も
しなくなったから…、
この子は記憶を消したのね…って
思ったわ…。
だから私たちも何も
言わないことにしたわ。」


気づけば涙がこぼれ落ちていた。

「…ゆきらお姉ちゃんっ、
その男の子の…名前はっ…?」


涙が…止まらない。