買い物から帰って、

荷物下ろしを終えた亮佑と早苗は、

再び早苗の部屋にいた。




客間では、直之が円香にアタック中だ。

どうなっているのか気になるところだが

2人の問題なので口を挟むことは出来ない。

亮佑も、円香と約束したばかりなので

のぞき見したい気持ちを必死で抑えていた。




「さっきからソワソワしすぎ」


「だだだだ、だって気になるだろ?!」


「気になるけど…。

あたし達は待つしかないでしょ?」




そう言いつつ、早苗はベッドに

腰掛けながら亮佑と同じくらい

ソワソワしている。




「それより…」




早苗は気を紛らわせる為に

読んでいた雑誌を閉じて、亮佑を呼んだ。

亮佑は早苗の隣に腰掛ける。




「あの…あのねっ」


「うん?」


「………あ、あの…その、えっとー…」




いつもハッキリと口に出す早苗が

珍しく言うのを躊躇っている。

ほんのり、顔を染めるその姿は

亮佑をキュンキュンさせた。

…が、天才的に鈍感な亮佑である。




「トイレ行きたいのか?」




―――ピシィ




「なんっっで、そうなるのよーっ!」




早苗の叫びと共に放たれた拳は、

躊躇うことなく亮佑の頭に直撃した。




「痛っ」


「それはこっちの台詞よっ、石頭っ!」




殴った早苗も痛がっている。

亮佑はその場に沈んだ。




鈍感過ぎるのは、時に罪だ。