「これ、今月の分。…雨多かったから、少ないけど」
茶色の封筒を手に、聖は実家に訪れた。
「いつも、ほんまに…ありがとう」
すまなさそうな顔で、それを受け取り、母親は頭を下げる。
「…聖とお姉ちゃんには、ほんまに…。遊びたいやろうに…ごめんなぁ」
母親は、毎回…この言葉を口にする。
聖は何も言わず、母親をジッと見つめたまま。
涙もろい母親の目には、今日も涙が浮かんでいた。
「…じゃ、帰るわ」
そう言って、母親に背を向け、聖は靴を履いた。
「ご飯食べていくっ?」