陽が上る。

ユークイン王国王宮にも、朝が訪れた。

太陽の光が窓から差し、小鳥のさえずりが聴こえた。

洒落(しゃれ)た壁紙と、洒落た装飾のある家具のある部屋の真ん中には、大きなベッドが一つ。
凡人が見ても、高級なものと理解できるようなベッドだった。

やがて、ベッドから赤髪の青年が起き上がる。
ロゼットだ。

ロゼットは寝ぼけ眼(まなこ)を擦り、窓から外を見る。
朝陽が眩しい。

腕を交差させぐっと伸びをすると、ベッドから降りた。

窓を明けると、冬の凛とした空気が部屋に流れてきた。
深呼吸をし、肺の中をそれで満たす。

冬の朝の寒さと冷たさは、寝起きによい刺激となり気が引き締まる。


ふと、床を見た。

傷も塵もない床に、投げられたシルクの寝間着が目に入る。

「……」

ロゼットは複雑そうな表情で頭を掻いた。

寝間着を拾おうと、床に手を伸ばす。

瞬間、突然ドアが勢い良く開かれた。