一時間目は、ヤマト兄の担当科目である日本史だった。
先生をしているヤマト兄を見るのは初めてで凄く新鮮だ。
それからあっという間に授業が終わり、放課となった。
俺が新しい教科書などの整理していると、授業を終えたばかりのヤマト兄が「彼方!」と
言いながら俺の方に向かってチョイチョイと手招きをしている。
すると俺の前の座席に座っている例の男子生徒が「はい」と言いながらヤマト兄の方に駆けつけていった。
へぇ…。あの子、彼方っていうんだぁ。
俺からの席だとクラス全体が見渡せるんだけど、大半の女子生徒たちが話しているヤマト
兄と彼方と呼ばれた男子生徒をチラ見している。
2人とも美形だから雰囲気が華やかっていうかなんていうか…
女の子に縁がない俺としては羨ましいかぎりだ。
そう思いながら2人をぼ~っと見ていると、その次の瞬間2人と目が合った。
えっ、なになに!?
動揺する俺をよそに、「遥!」っと言いながらヤマト兄が俺に向かって手招きする。
とりあえずヤマト兄のほうに駆け寄ると、
「遥、菅谷彼方君だ。お前と同じ寮に住んでるからこれから仲良くな。」
そう言って紹介してくれた。
「菅谷彼方です。よろしくね、遠山君。」
「う、うん。よろしく…お願い…します。」
ぎこちない挨拶を俺も返す。
こういうのって昔から苦手なんだよね。
「そうだ。一応ウチのクラスの室長と副室長も紹介しとくな。日高!風間!ちょっと来てくれないか?」
ヤマト兄がそう呼ぶと、雑談していた生徒の輪の中から、スラッと背が高く爽やかそうな男子生徒が一人。
またそのすぐ近くの席にいた少し長めのショートカットにふち眼鏡をかけた女子生徒が一人、こっちにやってきた。