美仔を見つけた。
泣いていた。
でも笑ってた。
自分に嫌気がさしたような、
悲しい笑顔だった。

「・・・美仔」
そっと声をかけると、美仔が顔をあげた。
「友梨香ぁ。あたしバカだよぉ」
珍しく語尾に小さいア段をつける。
かなり泣き疲れたっぽいなー。
「あたしねぇ、ホント、自分に鈍感だぁ」
「そうだね」
「今までねぇ、大河みたいにあたしの心を開こうとしてくれる人いなかったぁ」
「うん」
「なのにぃ、チャラ男だなんだ言ってさぁ、ごまかしてたんだぁ」
いや、ごまかさなくてもチャラ男だよ。
「んでぇ、いきなりキスされちゃってぇ」
そりゃもうチャラ男でもなんでもない。
ただの変態だよ。
「もぉ、頭おかしくなりそうでぇ」
うん、それ当たり前。
いきなりキスされて冷静でいれる人なんかあんまりいないでしょ。
「殴ったのぉ。うーん、回し蹴りぃ?」
どっちだよ。
「回し蹴りだぁ、顔面にヒットしたぁ」
そう言うと、美仔は笑い出した。
「ちょ、美仔!怖いから!とりあえず家帰ろ?ね?あたしも泊まらせてもらうから」
「ホントぉ?あははぁ~うふふふふ」