ここは二階だった。
トラットリアの二階の空き部屋を借りていた。

qはトラットリアのひさしにのぼって窓から部屋に入り込んできた。

「サダクローいなくなっちゃうんだもん。探したよ」

「なんでここがわかったんだ」

「サダクローの幽体離脱は有名だよ。」

俺の幻術は幽体離脱という題目で呼ばれていた。

そこへ、呼び出しておいた娼婦がやってきた。

「なに、この女?」

「これからお楽しみの時間なんでね。お前は出てってくれないか?
そこで見ててもかまわないが?」

qはだまって立ち尽くしていた。

娼婦は二人なんて聞いてないといった。

「こいつは気にしないでくれ。」

行為に及び始めると、qが娼婦を俺から引きはがして突き飛ばした。

「ちょっと、なにするのよ!」

「qやめろ」

娼婦にケガをさせると元締めがうるさい。
もめごとはおこしたくない。
俺は娼婦に約束の値段の倍の金を渡した。

「もう帰ってくれ。」

娼婦はたいした働きもせずに倍の金をもらって、
得したとばかりに帰っていった。

qは怒っている。

「qは女を抱いたことはないのか?」

「女はきらいだよ。」

涙を流している。
俺の感情はいやな方へ動いていく。