おかしいって思うんなら、勝手に思っておけばいい。

 俺だっておかしいと思う。


 だって、ミキと別れてそんなに経ってないのに、こんなにすぐに好きな人ができるなんて、思いもしなかった。

 しかも、その相手は、今日初めて会って話をして、お互いの名前を知る前にホテルでヤッちゃった人だ。


 それに今だって、彼女は『ナツミ』としか言わなかったからフルネームは知らない。


 それでも俺は、彼女に恋してしまった。


 別に、ヤッちゃったのが先だったからって、体目当てってわけじゃない。


 そりゃ、スタイルはめちゃくちゃ俺好みではあるけど。


 でも、顔とか、スタイルだけでなく、ナツミさんの存在そのものが、悉く俺のツボにハマっていた。


 今まで、彼女以外の女の子とヤるなんて、無意味としか思えなかったのに、ナツミさんとは最後までできたのは、俺自身気付かないままに、ナツミさんに惹かれていたからだと思う。


 ぶっちゃけ、一目惚れ? いや、一目ではないか。


 でも、ナツミさんは俺の『ストライクゾーン』なんじゃなくて、『超どストライク』。

 野球で言うなら、ノーヒットノーラン。コールドゲームで完封勝利。

 ボーリングで言うなら、パーフェクト。

 それぐらいだ。自分で言って意味分かんないけど。


 とにかく、ナツミさん以上の人は、俺のこの十八年間の人生に現れなかったし、これからも現れないと、直感的に思ったんだ。


 この気持ちに気付いたのは、あの瞬間。


『旬が…あたしの彼氏だったらよかったのになぁ……』


 そう言われたのか、単純に嬉しかった。

 あの言葉は、俺を受け入れて俺を必要としてくれたものだったから……


 そういう風に、誰かに必要とされることがこんなにも嬉しいことなんて、思いもしなかった。


 そして、それ以上に、あの瞬間から俺にとって彼女が必要な存在となってしまった。


 欲しくて欲しくて、たまらないよ。ナツミさん……