それは、俺が高三…それも卒業間近の時のこと。


 全てはここから始まった(と思う)。




「よっしゃ! 受かった!」

「俺もあった!」

「俺も! よかったー」


 大学の合格発表の掲示板の前で喜びガッツポーズをする俺の友達たち。


 その中に、俺は入れなかった。


「おい、旬。お前はどうだったんだよ?」


「落ちた」


 俺が即答すると、その場の空気が凍った。


 まさか、落ちるとは思ってなかったんだろう。


 確かに、俺が受けた学部の学科は、倍率が一・五倍で、受験者の半分以上は受かる、それぐらいの確率だった。

 実際、俺の番号の前後十人ぐらいは、抜けることなく続いている。

 周りの雰囲気も、受かって喜んでいる奴が多い。そんな状態だった。


「でも結果は分かってたようなもんだって。入試も全っ然手応えなかったし」


「ま、まぁ、お前滑り止めも受けたんだろ?そっちはまだ分かんねえしな」

 俺を励ますためか、そういう風に周りは言った。


 滑り止めも、全く自信ないけど、これ以上気を遣わせるのもなんだから、とりあえず何も言わなかった。